偉人や友人や先人によく叱責を受けた。
怠慢を得手としていたのだ。
怠慢が怠慢としてそのまま生き続けたスパニッシュ・ハーレム。
懐かしさを感じさせる尊き場所は残念ながら思いあたらないが、
近しさを感じずにいられぬ然るべき場所はある。
そこは路地裏の奥に潜む蔓に囲まれたスパニッシュ・ハーレムの教会だった。
最後まで神に拝むことも抗うこともなかったがそこで確固たる感情が芽生えた。
私情が込み入りすぎて、バカらしくなるほど。
オモイデの場所とはいわば生涯辿り着けない天国かもしれない。
時はふり返ることを許してくれるが、引き返すことを許してはくれない。
その辛辣さも甘さも愛すべきものなのだ。
しかしここで難儀な神のイタズラに遭遇する。
天国への道は、先ず死なぬことには拓かれない。
世知辛く度し難いこの世こそ、オモイデの極地にちがいない。