高校生のころ まじめだった私と友人は 校則をきっちり守り
禁止されているファーストフード店には行かずに
鶴屋デパートの食品売り場でおにぎりを買い
屋上で食べていました。
さびれた屋上では
こどもたちがぎゃー、とか、わーとか、走り回り
それを疲れた顔で見ている親(地味め多し)、
ぱつぱつパンツ(豹柄多し)をはいた金髪のおばさんがホットドックをむさぼり食っていたり、
妻の買い物に愛想を尽かし、避難してきたと思われる冴えないおっさんが呆然としていたり、
そいつらが暇つぶしに与えるタベモノを食べ過ぎて肥え太ったハトたちが目をぎらぎらさせていたりしていて、
そこに雑然とおいてある、ぼろぼろの、スピーカーの割れたゲーム機から
ぴぃぃぃー だの だっふんだぁ だの つるりんくーん だの ずこっ だの
むちゃくちゃに重なったおとがだだーっとながれていて
さらにお知らせスピーカーから鶴屋のお知らせなんかが妙に明るく流れていて
おにぎりをむしゃむしゃと食べながら、
むちゃくちゃなおとをBGMに
かれらを眺めていると、
私はなんだか、わけが分からなくなってゆくのでした。
そして、むしょうに可笑しくなるのでした。
高校卒業の日、私は屋上にのぼり、
ろくに開きもしなかった教科書を全部、そこのゴミ箱へ捨てたのでした。