幼い頃の記憶が濃い。
初めて家に妹が来たとき。
産湯につかった時のこと。
状況を鮮明に、気持ちを鮮やかに覚えてる。
幼稚園は特別な場所だった。
初めて体験する社会。
それは不安そのもので冒険心の固まりだったと思う。
そんな社会が存在する私の幼稚園は、
ほのぼのと。。というよりも、クールな装いだった。
広大な敷地に建てられた修道院に併設された幼稚園で、
うっそうと繁る大きな森。その中を滑る長く曲がりくねった滑り台。
まるで宝探しのように、森の中にはキリストの教えが書かれた木の札が立っていた。
小さいとき、それが意味するものが何か分からなかったけれど、
なんだか触れちゃいけない神聖なものは感じてた。
至る所にそれはある、人生の哀しみと強さ。
先日、20数年ぶりに幼稚園を訪れました。
震災で幼稚園はつぶれ、老人支援施設になっていたけれど、
森や修道院はあの時のまま。
あの頃に感じとられた感覚と今も何も変わっていなくて、
私の全てのルーツはここにある、と確認しました。