幼稚園のころ。
なんでだかいまでは思い出せないのだけれど、気に食わない女の子がいた。
その子に対するあからさまないじわる。
ひねくれたこどもだった。
ある日の給食時間の終わりごろ
先生のところにみんながたかっている。
「どうしたとー?」と近寄るわたし。
例の女の子が泣いていた。
「ちょっと来なさい」
大勢いる中でわたしだけ先生に呼ばれた。
原因はわたしだった。
これが始めて先生に怒られたとき。
これが始めて人を傷つけたときの悲しさに襲われたとき。
目を閉じるとはっきりと思い出す。
あの子の涙とわたしの涙と先生の涙。
幼くして大切な涙を胸に刻んだ。