小学生の頃、私が住んでいた団地は長い坂の上にありました。その坂に沿って田んぼが棚田のようにだんだんになっていて、ある田んぼからは、私が住んでいるまちを見渡すことができ、毎日通っていた小学校もみることができました。
田植えの時期になると、田んぼに水が張られます。ある日の夕暮れ、眺めの良い田んぼに来てみると、水の張った田んぼに夕日がうつって、あたり一面がオレンジ色に染まっていました。私はびっくりしてあまりのその美しさに、ほかの人にも見せてあげたいと思いました。でもその美しい光景はほんの一瞬で終わってしまって、その後一度も見ることができませんでした。
偶然の一瞬だったんだろうなあと思いながらも、その後も何度もその場所から景色を眺めました。
一度しか見ていないけれど、その光景は忘れることができません。またいつか、大好きだったその場所に行きたいです。