高校2年の3月、突然引っ越すことになった。
おじいちゃんが末期がんになったのだ。
おばあちゃんも3年ほど前に亡くなっていて、おじいちゃんは1人で暮らしていた。
おじいちゃんの家のお風呂は薪で沸かしていた。
毎日学校から帰ると、おじいちゃんから火の付け方、薪のくべ方を教えてもらった。
2つ下の弟は上手に出来るのに、私はいつまでたっても出来ないまま。
おじいちゃんはいつでもニコニコ笑って教えてくれた。
がんが進行して、弟を父と間違えるようになっても、痛みで起き上がるのが苦になってもニコニコ教えてくれた。
半年経っておじいちゃんが死んで、私達は引っ越した。
おじいちゃんの笑顔をあのお風呂のそばに置いたまま。