匂いの記憶
数年ぶりに嗅いだ日に当たった稲の香ばしい匂いと田焼きした後の燻った煙の匂い。むせる程の。
幼い頃から毎年嗅いで来た、ココロの棲む場所の匂い。
かけっこについていけなくて泣きながら歩いた土手沿いの道。
日に何度も着替える位、夢中になった川での水浴び。
寝っころがって夜空を見上げ知ってる星を探しては得意げになっていた幾つもの夜。
いつも傍に在った掌。声。
それから、
それから、
あのとき皆で誓ったこと。
歩き出したあのとき。
愛されたり
裏切ったり
泣かせたり
許されたり
愛しているけど
傷付けたり
傷付けたり
愛されていたり。
今違う場所で抱くものは
あなたとの
あなたとの
あなたとの