午前5時35分
まだ眠気まなこの私は親にせかされながら家を出る
今では考えられない高校3年間の私の習慣
40分にいつも通り着く列車
利用客も少ない田舎の列車だから、昼間や夜は2両編成。でもこの時間ばかりは長く長く連なっている
1両目の1番前
4人がけの席の窓側にいつも通り座っている彼女
「おはよう」
と言って私も彼女の前に座る。
「やばい。予習終わってないんだよね」
なんて言いながら黒い学生カバンを机代わりに教材を開く
朝ごはんを食べ損ねてもぐもぐしている日
昨日の寝不足からうとうとしている日
大きな声でおしゃべりしすぎて恥ずかしい思いをした日
夢中で英文を暗記した日
毎日毎日めまぐるしくすぎていく
海岸線沿いを通る通学だったので
のぼる朝日を見るのが好きだった
「今日も天気がいいな」と思うだけで気分が晴れた
そんな私の毎日を支えてくれたあの席は
今は誰かのいつもの席なのでしょうか